フォノニック結晶の波紋を見る

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私達は、表面波可視化技術を周期的な構造へ用いました。これは、携帯電話で使われているフィルタのような新しいフォノニックデバイスの開発に役立つことでしょう。左の画像は、この構造の真ん中を超短光パルスレーザー光で叩いたときに発生する弾性波の波紋を示しています。

右の図は、シリコン基板上の銅と石英の線の列の、約150 μm×150 μmの領域の光学顕微鏡像です。それぞれの線幅は2 μmです。

バチャバチャ跳ね回るブロッホ波。右:1次元フォノニック結晶構造(光学顕微鏡像)。左:可視化された波紋。クリックするとアニメーションが見られます(980 kB)。

このような規則的な構造(フォノニック結晶と呼ばれることもあります)での音波は、ブロッホ波として知られる振動のパターンになります。画像をクリックすると、ブロッホ波が前方や後方へ跳ね回る様子が見えます。

ブロッホ波の別の見方は、以下のようにデーターを縦軸を角度、横軸を中心からの半径としてプロットすることです。うっとりとするようなブロッホ波の流れをご覧ください。

角度−半径プロットしたブロッホ波の流れ。クリックするとアニメーションが始まります(407 kB)。点波源からの距離に対する波の進行の角度 。横軸10〜65 μm。縦軸は0〜360°の範囲で、0°を構造の列の向きに垂直な方向として定義しています。

ブロッホ波の速度は、構造の列に沿ったときに速くなります(つまり、異方性を示しています)。図では、上から1/4と3/4の場所で流れが速くなっていることがわかります。

興味深いことに、バンドと呼ばれる範囲内にこの波は存在し、どんな波も透過できないバンドギャップと呼ばれる範囲には存在できません。私達は、実験データーからこれらのバンドやバンドギャップの特徴を得ました。我々の方法は、異なった偏向の音波による複雑な網目模様となるバンド構造を明らかにします。これは、半導体中の電子や、フォトニック結晶中のフォトンによるバンド構造に類似しています。

まるで悪魔の目のような形をしています。534 MHzで、バンド構造の形が目のようになります。これらは、実験データーをフーリエ変換して、2次元波数空間でプロットしたものです。より詳細な説明はこちらをご覧ください。

図の中心を通るように水平に引いた直線は、明るい緑の部分と交わりません。このことは、横方向に進む波に対して、バンドギャップができていることを示しています。つまりこの場合、横方向にこの周波数の波は伝播することができません。

バンド構造。クリックするとアニメーションが始まります(230 kB)。各周波数ごとに、-3.2〜+3.2 μm-1の範囲の2次元波数空間を示しています。

中心付近の構造の左右両側にできる薄い円形の輪は、ブロッホハーモニクスと呼ばれます。これは、フォノニック結晶が弾性表面波を散乱し、その空間分布を変化させるために生じます。

この直接的な2次元バンド構造の可視化は、表面波フォノニック結晶を設計するときに役立ちます。この方法では一度の測定で全体のバンド構造が得られます。穴が四角格子上に配列したフォノニック結晶の結果もわれわれが発表しています。'Dynamic visualization of surface acoustic waves on a 2D phononic crystal,'

(詳しくは、'Imaging ripples on phononic crystals reveals acoustic band structure and Bloch harmonics,' D. M. Profunser, O. B. Wright and O. Matsuda, Phys. Rev. Lett. 97 055502, 2006.をご覧ください。)

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