フォノニック結晶の分散曲面を測る

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一般の方向けの研究案内:パチャパチャ蛙、キーキーこうもり、トントンきつつきと、結晶の波紋を見るのページもご覧ください。

周期的な構造上の音波の伝わり方はとても複雑であり、それを理解する最も良い方法は音波を構成するそれぞれの波長ごとの波の伝わり方を考えることです。

私たちは、シリコン基板上で銅と石英が交互に列になっているパターンによるフォノニック結晶上を伝わる音波に対してこの方法で分析しました。パルスレーザービームをすだれ状の形状(下の図の緑色の部分です)でフォノニック結晶表面に照射し、音波を発生させます。


試料の構造と、試料とレーザービームの配置です。

プローブビーム(検出光)が、音波が発生した後の試料の動きを検出します。その後、すだれ状のレーザービームスポットの方向や間隔を変化し、同じ実験を繰り返します。この様にして音波が波長や伝播方向によってどのように伝わるかを計測していきます。

この計測結果は「分散曲面」として知られる、波長の逆数(波数k)に対する周波数の関係としてグラフ化されます。この曲面が実験で完全に測定されることはめったにないことです。


計測された分散曲面です。

この曲面の形状は2つの種類の表面波同士の相互作用と、表面波と構造との相互作用から生じます。

私たちはこの研究が、フォノニック結晶やフォトニック結晶の分散曲面の研究を刺激することを期待しています。2次元、3次元の格子も興味深い分散曲面を生じることは間違いないでしょう。

より詳しくは、'Mapping the band structure of a surface phononic crystal ,' A. A. Maznev, O. B. Wright, and O. Matsuda, N. J. Phys. 13, 013037, 2011の論文をご覧下さい。

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