ナノワイヤ間の音の伝送

English version

結晶の波紋を見るのページもご覧ください。

音を固体内の小さな領域に閉じ込めることは、その領域に吸着した気体分子やナノ粒子の検知に役立ちます(1 nm=10-9 m)。 この目的のための弾性表面波を生成および検出するナノスケールのすだれ電極を使ったセンサーは、すでに存在しています。 しかし、これまでのところ、線状のナノ構造を使用してこれを行うことができた人は誰もいませんでした。

我々は、日本とフランスの共同研究として、2本の平行な線状ナノ構造を使用してこれが可能であることを示しました。

私たちの試料は、どちらも幅がわずか数十ナノメートルの金ナノロッドに平行な金ナノワイヤーを載せたガラスでできています(下の図を参照)。 超短光パルスを用いてナノワイヤーに音を発生させます。

音は表面弾性波(表面を伝わる波)に変換され、金ナノロッドに向かって伝わり、金ナノロッドを振動させます。 プローブ光と呼ばれる2つ目の超短光パルスを使用して、これらのナノロッドの振動を検出します。


この図は、ナノワイヤとナノロッドが数ミクロン離れている試料を示しています(1ミクロン=10-6 m)。 矢印は弾性表面波を示しています。 グラフは、ピコ秒弾性表面波がナノロッドを通過するときの光反射率変化(ナノロッドで反射したプローブ光の強度に比例)を示しています。

金ナノロッドからの反射したプローブ光強度のわずかな変化を測定します。 結果をグラフで示します。 グラフの揺れはナノロッドの振動によって引き起こされます。我々はその振動をシミュレーション計算し、下のアニメーションに示しました。

弾性表面波によって生成されるナノロッドのさまざまな振動パターンを示すアニメーション。

またナノロッドを90度回転させて実験を行ったところ、弾性表面波との機械的結合が強まり、検出感度が向上することがわかりました。

この研究は、ナノライン間の最小化されたセンサー領域上で非常に高感度な、化合物や吸着ガス、生物由来の物質などの、無機および有機材料のナノセンシングへの道を提供します。

より詳しくは、 'Gigahertz optomechanical photon-phonon transduction between nanostructure lines,' Y. Imade et al., Nano Lett. 21, 6261 (2021).をご覧ください。

メインページに戻る