金ナノリングの振動

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一般の方向けの研究案内:パチャパチャ蛙、キーキーこうもり、トントンきつつきのページもご覧ください。

石の固い床に結婚指輪を落としたことはありますか?もし落としたことがあるのでしたら、おそらく落ちたときに指輪がベルの様に音を立てたことに気づいたでしょう。指輪が大きくても小さくても音は鳴ります。


金ナノリングのイメージ図と2枚の電子顕微鏡像です。

私たちのナノリングの直径はわずか120ナノメートルで、ガラスの板にくっついています。ナノリングに短いレーザーパルスを当てて、それが振動するのを別のレーザーパルスを使って観察します。

ナノリングはとても速く、およそ10 GHz(=毎秒1010回)で振動します。これは耳で聞くには高すぎる音です。



測定した振動のグラフです。振動により光反射率がごくわずかだけ変化します。赤の実線が実験結果、青の破線がフィッティング曲線です。

コンピューターシミュレーションを使って振動をモデリングしました。振動数によって振動パターンが変化するのがわかります(下の図は横から見た図です)。この振動数は実験で観察された振動数に近いものです。(画像をクリックするとリングの動きを見れます。)


異なった振動数の金ナノリングの振動パターン。リングの中心を通る断面を横から見た図です。クリックするとアニメーションが始まります(230 kBの動画です)。

金ナノリングの振動の励起や検出には、表面プラズモンとして知られる金リングの中で光と電子が結合した現象に関わっています。私たちは表面プラズモンとこの振動の関わり方について将来、より深く研究していこうとしています。

より詳しくは、'Ultrafast vibrations of gold nanorings,' T. A. Kelf et al., Nano Lett. 11, 3893, 2011.の論文をご覧下さい。

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