光干渉計のデザインを示します。反対向きに進む2つのビームを使っているので、この干渉計の構成はサニャク(Sagnac)干渉計に分類されます。図中のPBS、NPBS、λ/4はそれぞれ偏光ビームスプリッター、無偏光ビームスプリッター、λ/4偏光板を表しています。
2つの検出光パルスは試料に500ピコ秒の時間差をつけて届き、この2つの光パルスの反射光は光検出器のところで重なります。このとき干渉が起こります。2つのパルスはどちらも表面膨張の変位を検出しますが、2つのパルスが表面に到着するのにはわずかな時間差がついていますので、2つのパルスの干渉信号はある検出位置で表面が膨れる速度に比例します。検出点の直径はおよそ2ミクロンです。
2つのパルスは干渉計の中で反対向きに進みますが、全く同じ光路を通りますので、細かな調整のずれや機械的な振動に比較的鈍感です。このようなデザインを共通光路といいます。
もっと詳しいことは、論文 'Detection of ultrafast phenomena using a modified Sagnac interferometer', D. H. Hurley and O. B. Wright, Opt. Lett. 24, 1305-1307 (1999) をご覧ください。
我々は、この干渉計を不透明な基板の試料にも使えるように改良しました。'Scanning ultrafast Sagnac interferometry for imaging two-dimensional surface wave propagation', T. Tachizaki, T. Muroya, O. Matsuda, Y. Sugawara, D. H. Hurley, and O. B. Wright, Rev. Sci. Inst. 77, 043713-1-12 (2006)の論文をご覧ください。