k空間でフォノンを見る

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一般の方向けの研究案内:パチャパチャ蛙、キーキーこうもり、トントンきつつきと、結晶の波紋を見るのページもご覧ください。

フランス、オーストリア、タイの研究者と共同で、私たちは超高速現象のイメージング技術を使ってミクロな周期構造中の通路に沿って進む高周波数の音響波を撮影しました。

試料はシリコン結晶上に直径6ミクロンの穴を周期的に開け作ったもので、通路部分だけ穴を空けずに残したものです。L字型の通路(導波路)での特定の周波数での表面の動きのある一瞬をここに示します。

フォノニック結晶内の320 MHzの音響波。クリックするとアニメーションが見れます(1.4 MBの動画です)。

この周波数ではフォノニック結晶として知られる周期構造部分には音響波は入れないので、音波は90度のコーナーで曲がっていきます。

この過程をよりよく理解するために、私たちはデータをいわゆるk空間逆格子空間と呼ばれる空間に変換しました。

この変換は、一連の画像を(フーリエ変換を含む)数学的な解析方法で処理することで行います。時間に依存する異なった波長(λxλy)を音響波の振幅で表示します。

フォノニック結晶試料での表面音響波の、通常の空間(赤青の動画)とk空間(右の3つの図)での動画。

上に示した動画は、通常の空間(左)とk空間(右:波数空間の略称)の両方で示しています。小さい方の動画の横軸と縦軸は、それぞれ波数kx (=2π/λx) と ky (=2π/λy)に対応しています。どの波長の音響波が導波路に入っていて、どの波長がコーナーの部分で曲がって導波路に残るのかを理解するのが、k空間の動画でみることによってより簡単になります。

これは音響波によるk空間でのアニメーションの最初の演示であり、この方法は音響波が様々な構造によってどのような影響を受けるのかを理解するのに有効であることを示すものです。より詳しくは、 'Broadband evolution of phononic-crystal-waveguide eigenstates in real- and k-spaces,' P. H. Ohtsuka et al., Sci. Rep. 3, 3351 (2013)をお読みください。

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